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Review 
買ったり借りたりダウンロードしたりしたCDのレビュー。詳しくは about に。
♪010  『 蒼風 / 上妻宏光 』 
 筋トレ中に流せるような激しいロックから、切なさに胸かきむしらんばかりの恋の唄まで、三味線一本で千変万化の和のサウンドを奏でる上妻宏光。彼の音楽は聴き手のあらゆる心の階層に働きかけてくる。
 津軽三味線奏者の彼だが、出身は茨城県だそうである。デビュー当時は 「よその者に津軽三味線の真髄がわかるわけない」 という横やりもあったそうだが、「だからこそ意地を通して弾き続けた」、といったニュアンスのことをライブのトークで話しているのを聞いた。そんな心意気があればこそ、繊細な三味線の音色で幅広いジャンルを弾き渡っても決して腰砕けにならない、極太の芯が加わるものなのであろう。ちなみに彼のライブトークは笑いに溢れていて、これもまた魅力のひとつである。
 これから僕が楽器を始めるとしたら、ギターでもピアノでもサックスでもなく、三味線を弾いてみたいと、彼の音楽を聴きながら思うのである。  (2008年 4月7日 記)  
♪009 池袋ウエストゲートパーク Classic Edition   
 ここ一年くらいで、私はずいぶんクラシック音楽を聴くようになった。そのいくつかの要因の中で、ひときわ大きなきっかけになったのが、この『池袋ウェストゲートパーク(I.W.G.P.)』 に登場するクラシック曲を集めたコンピ盤である。ステレオの前で気取ってうんちくを傾けるオールドなクラシックではなく、街を歩きながらヘッドホンで聴くようなざっくばらんとした開放感に満ちているのがいい。もちろんそれは『I.W.G.P.』 の世界観にリンクしているゆえではあるが、ストリートの疾走感や緊張感にこれほどクラシック音楽がシンクロするものだとは、正直全く思っていなかった。初心者が手を出しがちな『どこかで聞いたナントカ』 みたいな安っぽい企画盤とは全くモノが違う。ガキも大人も、紳士も悪魔も、クラシックの音符の渦の中で狂ってしまえばみんな一緒。優れたクラシックは、下手なロックよりもよほどスリリングだ。   (2007年12月6日 記)  
♪008 Tango Zero Hour / Astor Piazzolla 』  
 何か音楽を聴こうと思った時、たいていはその時の気分で選ぶわけだが、それとは別に時折、無性に聴きたくなる音楽というのがある。その 『無性に』 という言葉が一番当てはまるのが、私の場合このアストル・ピアソラである。魂の奥底から搾り出されるような、バンドネオン(アコーディオン)の音色。深い悲しみと激しい情熱が拮抗しつつ混じりあい、その中で不意に表れる希望の旋律は、嵐の後に雲の隙間から差し込む一筋の陽光のようである。そんなピアソラの音楽に身をゆだねて幾ばくかの時間を過ごすと、私は異国の町を歩いたような心地良い疲労感に包まれる。時に人がそうするように旅を人生になぞらえるならば、このマエストロの音楽はまさに人生そのものと言えるだろう。   (2007年10月15日 記)
♪007 Four Flights Up / Speedometer 』  
 数年前からファンクジャズにハマり、いろいろ聴き続けて来たが、正直のところある程度まで聴いてくると食傷してきたのも事実であった。そんな時みつけたのがこのSpeedometerである。ジャケットがカッコいいという理由だけで何も期待せず試聴したのだが、バンド名の通りのスピード感あふれるチューンに不意に滑り込んでくるフルートの音色に、惰性で聴いていた僕のファンク魂がメラッと燃え立った。ファンクの本場ニューオーリンズあたりのバンドと思いきやイギリスのバンドと知って納得。それゆえ本場のバンドとは一味違うノリとムードが際立っているのだろう。やつら(と呼びたくなるね、こういうバンドは)のサイトもカッコいい。他のアルバムもカッコいい。しようぜ、ファンクの聞こえる生き方を。    (2007年9月17日 記)
♪006 紅盤 / 斉藤和義 』  
 今年の夏、私は友人に結婚披露宴のためのウェルカム・ボードを頼まれて製作したのだが、作りながらずっとこのアルバムを聴いていた。デカいヒット曲はないけれども、一度心に入り込んだら二度と消せないような思いが胸に根を張る、そんな『歌うたい』、斉藤和義。大好きである。このアルバムはカバーやコラボ曲が大半を占める企画盤だが、斉藤和義の魅力は100%発揮されていると思う。出会いの曲『ベリーベリーストロング』に胸熱くなり、様々な恋の場面をデッサンしたようなラブソングに心引き込まれ、ラストの『ウェディング・ソング』では目頭が熱くなる。ここまでぶっきらぼうに、ここまで繊細に男と女のストーリーを奏でるアルバムにはそう滅多にお目にかかれない。誰かの幸せも、自分の幸せ。情熱的な真紅のジャケットには、深い深い包容力が満ちている。 (2007年8月29日 記)
♪005 大島保克 with ジェフリー・キーザー / 大島保克 with ジェフリー・キーザー 』  
  沖縄の『唄者』、大島保克と、アメリカのジャズピアニスト、ジェフリー・キーザーのコラボ。沖縄三味線とピアノの音が絹糸をより合わせるように繊細に絡み合い、この上なく美しい音色が夏空を舞う。恥ずかしげもなく『奇跡の出会い』 とでも呼びたくなるような美しさだ。曲は沖縄や八重山の民謡がメイン。沖縄で見たあの海の青さ、あの透明感を思い出した。だがここ山形はもちろん、日本中どこの街の夏にでもこの音楽はすんなりと馴染みそうなしなやかさがある。これから夏が来るたび、毎年聴続けるだろうと思う、愛聴盤だ。 (2007年8月23日 記)
♪004 Icky Thump / The White Stripes 』  
 ぜんぜん知らないミュージシャンだったが、NAPSTERでたまたま見つけて聴いていたらいつの間にかハマった。個人的感想としては「モロ、ツェッペリン!」というのが第一印象。これを80年代後半とかにやると『クローンだ』 とか袋叩きにあったのだろうが、世代が一回りしたくらいの今の時代に演ると新鮮で高評価になるのがロックの歴史と言うことだろうか。曲も良いので飽きずにリピートしている。ツェッペリンと同じく、なるべく低音を効かせて聴くのがよいと思われる。まったく脈絡ないが、これを聴きながら日曜大工をしたら仕事がえらくはかどった。かっこいいロックは聴き手の集中力を研ぎ澄まさせるんだな。 (2007年8月23日 記)
♪003  『10th Anniversary Live Box - Smiles (CD部分のみ) 』 / 葉加瀬太郎  
 本来DVD&CDのボックス商品で高くて手が出なかったが、ネットでCD部分だけダウンロード。今年の夏に葉加瀬さんのライブを観てから、うちではひっきりなしに葉加瀬太郎のCDが流れている。爽やかな朝でも真夏の真っ昼間でも夜中に酒呑みながらでもいつでも聴けるのが不思議。クラシックとポピュラーの微妙なブレンド具合が気持ち良いからか。バイオリンと言うとシックなイメージだが、ライブを観て葉加瀬氏の天井知らずのラテン系のノリに度肝を抜かれた。怒涛のリズムに乗せた『情熱大陸』 で山形の観衆をノリにノせ、バイオリン片手に 『天童温泉(前泊だったらしい)最高ォ〜ッ!』、『山形牛バンザ〜イッッッ!』 と絶叫する葉加瀬氏に心底惚れた。私も太るなら彼のように太りたい。 (2007年8月21日 記)
♪002  『男唄〜昭和讃歩』 / 木村充揮×近藤房之助  
 ブログにも書いたのだけれども、うちでは夕食時はなるべくテレビを消して音楽だけを流すようにしている。ジャズやクラシックをかけると食卓がとてもいい雰囲気になるのだが、この前ふとした拍子にこのCDをかけたら完全に居酒屋状態になった。しかしながらこの深く渋い味わいは銘酒のように五臓六腑に染み渡る。さしづめニッポンのB.B.キング&クラプトンと言ったところか。僕は歌手じゃないけど、こんな唄を歌えるオッサンになれたら良いと思う。(2007年8月19日 記)
♪001  『BEST OF TOKYO SKA 1998-2007』 / 東京スカパラダイスオーケストラ 
 店頭でジャケットに一目惚れした。トランペットから火だよ!炎のトランペット!トランペット・ファイアー!更に試聴して驚き。このバンドの名は知っていたが、こんなにカッケー音楽だったとは。今まで聴いていなかった自分にめちゃくちゃ後悔した。こんなに熱くてノリのいい音楽があれば、これまでの人生のどれだけの場面を潤してくれただろう。この夏の俺の車内ヘヴィ・ローテ。二枚組みでなかなか通しで聴く時間もないのだが、できたら大音量でぶっ通しで聴きたい。クタクタになるまで。LIVE観てえ〜。(2007年8月17日 記)


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