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#002 『地下鉄の広告看板』

 地下鉄の構内と言うのは決まって無機質で、殺風景なものである。東京に暮らす人々にとっては、そこはただ生活の中の移動のために潜り抜ける地下空間に過ぎない(実際僕もそうだった)。
 だが僕のような来訪者にとっては、そんな空間であっても、時に都会の色気のようなものをちらりと見せてくれる場所でもある。

 待ち合わせの場所。一メートル四方ほどの大きな電飾看板には、中華がずらり。あまりに美味そうで、思わずカメラを向けた。

 待ち合わせの相手がやってきた。薄暗い構内で看板の明かりを真正面に受けながらぼんやりと中華料理を眺めている僕を、その人はおかしいと笑った。

  (07年7月26日 記)
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